「どうした? 何かあったのか」
休日の昼下がり。私の部屋にやって来て間もなく、焦凍が心配そうに顔を覗いてきた。
「……お昼ご飯の味付け失敗しちゃって、それ引きずってるの」
分量を間違えたのか出来上がった料理は謎に塩辛かった。料理を失敗することはあまりないのだけど、今日は見事に失敗。食べられないほどではないけど、もう食べたいとは思えない微妙な味。まあそれを食べるのは私一人だから構わないけど。
「でもちゃんと昼飯は食ったんだろ?」
「うん」
「偉いな」
焦凍が柔く笑って私の頭を撫でた。面倒になると食事をしないことも多々あるせいか、彼は私がきちんと食事をするとこうして褒めてくれるようになった。まったく、この男はどこまで私を甘やかせば気が済むのだろう。それでもそのおかげで食事の回数が増えたのも事実で、私もどこまでも単純な女なのだ。