目が覚めると焦凍に手を握られていた。こちらを覗き込んでいたらしい彼は私と目が合うと、その左右非対称の色の瞳を少しだけ丸くして、柔らかな表情を浮かべた。
「何かいいことでもあったの?」
焦凍の顔があまりにも幸せそうだったから、自然と私の口からはそんな疑問が飛び出して。
「ああ。名前が今日も生きてる」
静かに、穏やかに。顔を綻ばせながら彼は言う。あまりにもまっすぐに伝えられた感情に、顔が熱くなった。
「大事なことだろ」
繋いでいない方の彼の手が私の頬に添えられる。彼の端正な顔がゆっくり近づいて、小さな音を立てて唇が重なった。