自分の悲鳴で目が覚めた。身体を半分起こして浅い呼吸を繰り返す。心臓がバクバクと脈打っていて、酷く気分が悪かった。つい数秒前まで見ていた悪夢が瞼の裏に焼きついている。
「名前」
すぐ傍から聞こえた声にハッとする。そうだ、今夜は荼毘が来てたんだ。
「ごめん、うるさかったよね」
「……いや、」
起こしてしまった申し訳なさも合わさってどんどん気持ちが沈んでいく。起きて気分転換でもしようかと悩んでいると、腕を引っ張られてベッドに背中から倒れこんだ。
「起きるから離して」
「黙っておとなしくしてろ」
眠りたくなくて抵抗したけれど、容易く荼毘の腕の中に閉じ込められた。こうなるともう私に残された選択肢はなくて、素直に従わざるを得なくなる。
「……」
密着している身体から伝わる鼓動。一定の間隔で刻まれるそれだけに意識を向けていると、荒れていた感情が嘘のように凪いでいった。
「お前を苦しめるヤツは全員殺してやる」
頭上で囁かれたその一言に涙が滲む。泣いているのを悟られたくなくて、唇を噛み締めながら頷くと、子供をあやすように背中を擦ってくれた。