ついに来てしまった。眼前に広がる大きな屋敷を前にひとつ息を吐いて、ゆっくりと玄関に手をかけた。
久しぶりに会う親戚というのは、私の中ではほぼ他人である。いくら昔は仲が良かったといっても、数年会わなければ心理的な距離感はかなり広がってしまう。あたりまえだが当時に比べると相手の風貌も少なからず変わっているわけで、なんというかますます他人感が強まってしまう。そんな相手に対してどう接すればいいのかわからず、ここ数年は本家での集まりには参加していなかった。バイトだとかどうしても外せない用事があるとか適当にごまかしていたけれど、ついにそれを見かねた両親に「たまにはマダラさんたちに顔を見せに行きなさい」と半ば強引に家を追い出されてしまったのだ。酷い。
「お邪魔します……」
母によると今回の集まりでは女性は私とミコトさんだけらしい。心細すぎる。一刻も早く私の心の拠り所のミコトさんを探していると、近くの襖が開いた。
「……」
「……サスケ?」
「ああ」
うわ、いつの間にか身長追い抜かれてる。昔は私の方が高かったのに。
「ミコトさんどこにいるか知ってる?」
「さっき買い物に行った」
「そ、そうなんだ……」
入れ違いになってしまったらしい。ということは今この屋敷にはうちはの個性が強すぎる男性陣しかいないのか。助けて。
「……」
「……」
「荷物置いてくる」
なんとも微妙な沈黙に耐え切れず、サスケの返答を待たずに人気のないであろう仏間へと急いだ。早くミコトさん帰ってきてほしい。
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