※
これの続き
「それで赤也がね、」
「ほう、それは……」
会話の最中、仁王がスッと背筋を伸ばした。彼も普段はどちらかというと猫背で、私と同じように真田くんに背中を叩かれているのだけど。
「仁王?」
「たるんどる!」
「わあ!」
背後から真田くんの声が聞こえたのとほぼ同時に背中を叩かれた。どうやら私はまた無意識のうちに猫背になっていたらしい。真田くんは「気を抜くな」と言い残して足早に去ってしまった。
「……真田くんに気づいてたなら教えてよ」
「すまんの。ただの偶然じゃき」
「……」
「そう見つめなさんな」
気がつくと仁王はまたいつもの猫背に戻っていて。たるんどる、と真田くんの声色を真似て背中を叩いてみたら「ピヨ」となんとも気の抜けた返事が返ってきた。
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