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BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -


「名字、また猫背になっているぞ!」

 バシン!不意に背中を叩かれて飛び上がった。

 先に言っておくとこれは決して嫌がらせの類ではない。私の猫背を直そうとする真田くんなりの優しさである。癖というのは恐ろしいもので、気を抜くとすぐ猫背になってしまう。それを彼に見つかると、こうして必ず背中を叩かれるのだ。まあ叩かれるとは言っても、それなりに加減してくれてるから痛くはないんだけど。

「名前先輩、また真田副部長に叩かれてたんスか」

 意地の悪い笑顔を浮かべながら赤也が近づいてきた。どうやらさっきの現場を見られていたらしい。

「そうだよ」
「先輩も懲りない人っスね」
「それを言うなら赤也だって、」

 そこまで言いかけたところで真田くんが何かを思い出したように「赤也、先日の英語のテストについてだが」と切り出した。

「待たんか! まだ話は終わってないぞ!」
「急用っス!」

 話を聞き終える前に走り出した赤也と、凄まじい速さで追いかけていく真田くん。あの様子では赤也が捕まるのも時間の問題だろう。ああ、立海は今日も平和だなぁ。


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