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「#年下攻め」のBL小説を読む
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 眠れない夜が続いている。クラゲの光だけが周囲をぼんやりと照らしていた。普段なら朝まで一人で過ごすことが多いけど、今日は違った。


「名前はボルツと同じ戦闘狂だと思ってたけど」
「そんなふうに思ってたの? ひどいなあ」

 今夜は名前が傍にいる。眠れないみたいで、確実に起きている僕のところへやって来たらしい。

「今の僕には、月に行きたがっているように見えるよ」

 無知な頃は先陣を切って月人に飛び込む名前をかっこいいと思っていた。月人が現れると率先して闘うし、自分の体を砕いて囮にも使っていた。勇敢に見えたそれは、今にして思えば無謀に他ならなくて「早く砕いてくれ」と言わんばかりの行動だった。

「そうだね。でも皆には内緒にしておいて」
「どうして月に?」
「何かを疑うことにも考えることにも疲れたの。しばらく休みたくて」
「でも月に行ったって休めるとは限らないよ」
「うん。でも粉々に砕けている間は意識がなくなるでしょう。少なくとも思考は止められる」
「名前……」
「馬鹿なことを言ってるってわかってる。それでも願わずにはいられないの」

 名前は僕よりもずっと年上だ。2300歳くらいだったろうか。僕には想像のつかない長い時間を生きている。

「頼りなかったフォスもすっかり強くなったし、私もそろそろお役御免だね」
「ダメダメ! 名前にはまだ教えてほしいこととか聞いてほしい話がいっぱいあるんだから!」

 名前と話すのは楽しい。不安定な僕を包んでくれて、ほっとする。だから月になんて行かないでほしい。ずっと傍にいてほしい。そう思うのは僕のわがままかな。



「……ふぉ、す?」

 バラバラに砕けた名前を拾い集めていく。間に合ってよかった。前の僕だったら助けられなかったかもしれない。

「ごめん。助けちゃった」

 今日に限って月人の奴らは一人でふらふらしていた名前の所へ現れた。名前は助けを呼ぶこともなく、僕が到着したときにもほとんど抵抗していないように見えた。本当に、あと少しでも到着が遅れていたらと思うとぞっとした。

「意地悪。でも、ありがとう」
「名前を失わなくて済むならいくらでも意地悪になるよ」
「病み可愛いフォスが再発してる」
「あ、ほんとだ。でも可愛いから許してね」


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