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BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -


 大学の授業も終わり、特に予定もなかった私は事務所の来客用ソファを占領している。お客さんもいないし、霊幻さんも何も言わないから多分座っていても問題ないのだろう。

「来週占い師に見てもらおうと思ってるんです」

「占い師?」

「タロットとか霊感なんとかで見てくれるらしいんですけど、どう思います?」

「やめとけやめとけ。あんなの誰にでもあてはまるようなことしか言わねえぞ」

「そうなんですか?」

「いいか、ああいうのはな……」
 
 そう言うと、霊幻さんはずいっと身を乗り出してコールドリーディングや心理学を用いた手口について細かく説明してくれた。さすが霊幻さん。蛇の道は蛇だ。

「ありがとうございます。勉強になりました」

「おう」

「気になるので来週行ってみます」

「俺の話聞いてたか?」




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