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「#年下攻め」のBL小説を読む
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「モブくんいらっしゃい! たこ焼きあるよ」

 事務所に入ると、笑顔の名前さんに出迎えられた。数日前まで憂鬱に悩まされていた姿はどこにもない。とりあえず勧められるまま椅子に座った。

「ありがとうございます。あの、何かいいことでもあったんですか?」
「うん、仕事辞めた解放感で元気なの」
「えっ、辞めたんですか」
「うん」

 働き始めたのはいつだったっけ、と考えていると師匠が「今回は一週間だったな」と言った。そうか、あれからもう一週間経ったんだ。

「なるほど……」
「仕事辞めた日のごはんがこの世で一番美味しいと思う」

 働いている最中は気分が悪くて胃が食べ物を受け付けなかったらしい。仕事を辞めてからやっと少しずつ食べられるようになったと名前さんは笑った。久しぶりに見た彼女の笑顔に、僕もなんだか安心した。

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