今日は霊幻とシゲオの二人が揃って除霊に出かけている。そうすると必然的に俺様と名前が二人きりになるわけで。たいしたことではないが、以前から気になっていたことを聞いてみることにした。
「そういやぁずっと気になってたんだけどよ」
「うん」
「なんであの日"カッコワライ"の集会所に来たんだ?」
あれからもう随分経ったが、どうして名前があの場所に来る気になったのか。俺様はまだその理由を知らないでいる。
「ああ、箱ティッシュとラップくれるって言うから……」
「はあ?! さすがに他にも理由あんだろ!!?」
てっきり名前のことだからバイト関係の悩みから教団に来たのだろうと予想していたが、それとはまったく関係のない答えに吹き出してしまった。
「ないけど……結局貰えなかったし」
私が寝てる間に配り終えたのかな、と未だにどこか残念そうである。いやいや宗教団体に何を期待してんだよコイツと内心でツッコミを入れた。
「俺様が言うのもどうかと思うけどなぁ」
「なに?」
「あんまり怪しい奴にホイホイついていくなよ。いつか痛い目見るぞ」
「わかってるよ。大丈夫」
「名前の"大丈夫"ほどあてにならないもんはねえからなぁ」
もう少し警戒心というか、そういうものを持つべきだ。
「それに、いざとなったらエクボが助けてくれるでしょ?」
こいつはこういうときだけ俺様を真っ直ぐ見てきやがる。そんな気の抜けた笑顔を向けられたら毒づく気も失せちまうってもんだ。
「調子のいいこと言いやがって」
まぁ気が向いたら助けてやらなくもねぇかもな、と顔を逸らした。
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