カルデアから退去して久方ぶりに召喚された私の目の前には、あの頃よりもずっと酷い顔をしたマスターがいた。
「い、イシュタル……」
「久しぶりね、名前。あなたの召喚に応じ、女神イシュタル参上したわ」
「うっ、い、イシュ……」
「来なさい。マシュには内緒にしてあげる」
名前を抱きしめ、細い背を撫でた。たった数か月しか経っていないはずなのに、随分と痩せたような気がする。ちゃんと食べているのだろうか。この状況で贅沢は言えないにしてもカルデアにいた頃よりもずっと疲弊しているように感じる。「家に帰れるかもしれない」と話してくれたことがあったけれど、この様子ではその願いも叶わなかったのだろう。
天は乗り越えられる試練しか与えないというけれど、この娘に与えられているものはあまりにも酷だった。
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