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これのつづき

 カルデアに召喚されて、かなりの月日が流れた。自分以外のサーヴァントが増えていけば、第一線で闘う機会も減っていくのだろう。そう思っていた時期が拙者にもありました。

 今日も当然のようにレイシフトのメンバーに組まれていた。自分で言うと虚しくなるが他にも強力なサーヴァントはいるだろうに、それでもマスターは余程のことがない限り拙者を連れていく。勿論頼ってもらえるのは嬉しいことに違いないが、これほど優遇されていると本当に自分でいいのかと考えてしまうこともあるわけで。


 ある日の午後、食堂に立ち寄ると先に来ていたらしいマスターと、最近召喚されたオジマンディアス殿が何かを話していた。エミヤ氏に日替わりランチを頼み、近くの席へ腰掛ける。二人の会話の内容までは聞き取れないが、オジマンディアス殿の声量にマスターが圧倒されていることだけはわかる。フハハハ、と笑い声が響くたびにマスターの肩が跳ねていた。これは慣れるまで相当時間がかかりそうですな……。

 なんとなしに見守っていると、ふとマスターと目が合った。そのまま様子を見ていれば、オジマンディアス殿にぺこりと頭を下げ、こちらへ歩いてくる。

「黒髭も今からお昼?」
「も、ということは……」
「うん。私もお昼まだだから、一緒に食べてもいい?」
「もちろんいいですぞ」

 拙者と同じ日替わりランチを注文したマスターが隣に座った。こうして普通に話せるようになるまで長かったな、とぼんやり思い返す。しかし時間をかけて信頼関係を築いたおかげで、今は女性サーヴァントと同様に接してくれるまでになった。数多の男サーヴァントの中で一番気楽に接してもらえている自信すらある。

「ふふ」
「?」
「黒髭の傍はやっぱり落ち着くね」
「……せ、拙者のマスターのヒロイン力がカンストしているでござる」
「うん?」
「ああ、いや、なんでもないでござるよ」

 こんな若い娘一人に一喜一憂させられていると周囲に知られれば、座に還るまで散々からかわれるに違いない。しかしそれさえも、相手が名前であるのなら悪くないかもしれないと思うあたり、もう色々と手遅れかもしれない。

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