「見いつけた」
閉じてあった襖が徐々に開かれ、青の瞳が私を射抜く。散々逃げ回り、息を殺し、精一杯隠れていた、はずだった。彼の索敵の高さを侮っていたわけじゃない。お札も貼っていたし、ここならきっと見つからないと思っていたのに。
「主さんはかくれんぼが好きだね」
いつも僕の腕をすり抜けて、誰かの後ろや物陰に隠れてしまう。そんなに怖がらなくても何にもしないのにさあ。
「ほら、こっちに来てよ」
恍惚とした表情を浮かべる乱がこちらへ手を伸ばす。すぐそこに貼っておいたお札は乱が近づくにつれて、じりじりと黒く焦げ始めている。このお札が塵になるのが先か、他の刀剣が私を見つけてくれるのが先か。今の自分にできるのは、目に見えない神様とやらに祈ることだけだった。
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