SSS other | ナノ
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


「見いつけた」

 閉じてあった襖が徐々に開かれ、青の瞳が私を射抜く。散々逃げ回り、息を殺し、精一杯隠れていた、はずだった。彼の索敵の高さを侮っていたわけじゃない。お札も貼っていたし、ここならきっと見つからないと思っていたのに。

「主さんはかくれんぼが好きだね」

 いつも僕の腕をすり抜けて、誰かの後ろや物陰に隠れてしまう。そんなに怖がらなくても何にもしないのにさあ。

「ほら、こっちに来てよ」

 恍惚とした表情を浮かべる乱がこちらへ手を伸ばす。すぐそこに貼っておいたお札は乱が近づくにつれて、じりじりと黒く焦げ始めている。このお札が塵になるのが先か、他の刀剣が私を見つけてくれるのが先か。今の自分にできるのは、目に見えない神様とやらに祈ることだけだった。


prev next