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「#幼馴染」のBL小説を読む
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※少年マダラ

「だからマダラには関係ないでしょ!どうして一々行動を報告しなきゃいけないの!」

 千手と戦を繰り返すばかりの毎日に嫌気が差し、一人で近くの森を散歩していた。私はこの場所が好きだ。こうして静かな場所で過ごしている時だけは辛い現実を忘れられる。しばらく森林浴を楽しむつもりで適当な石に腰を下ろすと、そう時間の経たないうちに木陰から幼なじみのマダラが姿を表した。厄介な奴に見つかった。マダラの表情は本人に確認するまでもなく怒りに満ちており、私が言葉を発する前にお説教が始まった。そして話は冒頭の発言に至る。

「今は戦争中だぞ!女が一人でフラフラしてんじゃねェ!」
「女だからって甘くみないで!写輪眼は使えないけど、私だって忍だよ。いつでも闘える」
「千手の奴らに取り囲まれても同じ台詞が言えるのか?犬死にしちまったら何の意味も無いだろうが!」
「犬死にするくらいなら自害するわよ!」
「そういうことを言ってるんじゃねェよ!お前はもっと自分を大切にしろ!」
「本当意味わかんない!マダラにそんなこと言われる筋合いない!何で私に構うのよ!」

 いつもそうだ。私がどこかへ出掛けようとすればついてくるし、ついてこなかった日は「どこに行ってた」と質問責めにされた。いくら戦争中とはいえ、これはあまりにも過保護ではないか。私だって忍の端くれだ。自分の身くらい、自分でどうにでもできる。それなのにマダラはああだこうだと口喧しい。

「お前が大事だからに決まってんだろ!」
「私のことはほっといて……え?」

 怒鳴るマダラが発した言葉に、一瞬で頭が冷えた。今、マダラは何て言った?

「だから!お前が大事だからいなくなられちゃ困るんだよ!」
「それって、あの、どういう意味?」

 心臓が落ち着かない。今までマダラから「大事」だなんて言われたことは一度もなく、その言葉に自分でも分かるくらい動揺してる。いや、でも、ほら、うちは一族の血を絶やさないためとか、戦争中だから一人でも人数が減ったら困るからって意味で「大事」って言ったのかもしれないし。うん、落ち着け。都合のいいように解釈してはいけない。

「これだけ言ってまだわかんねェのか、コラ!俺はお前が好……」
「す……?」
「……」
「……」
「……」

 長い沈黙が続く。黙って待ってみるものの、マダラはそっぽを向いたまま何も言わない。

「マダラ?」
「うるせェ!こっち見んな!もうこの話は終わりだ!」
「あのさ、」
「あァ!?」
「……私も、その、マダラのこと、大事に思ってるから。そ、それだけは覚えておいてよね」
「……おう」

 さっきマダラが言った「大事」という言葉がどんな意味を持つのか、その真意は聞き損ねてしまったけれど、それがどんなものでも構わなかった。どんな意味であれ、マダラが私を大事に思っていてくれたことを知れただけで充分だった。

「……帰るぞ」

 自然な動作で差し伸べられたマダラの手をとり、家へと続く道を歩き始める。少し前を歩くマダラの耳が赤く見えるのは、夕陽のせいだろうか。

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