梅雨入りして数日。昨夜から降り続いていた雨は朝になっても止まず、しとしとと地面を濡らしていた。
「見て見てー!」
「どうしたの?」
「てるてるぼうず作った!」
本を読む名前とイタチの所へ勢いよくサスケが走りこんできた。その手には三つのてるてるぼうずが握られており、丁寧に顔まで描かれている。
「わあ、上手だねえ」
「顔もそれぞれ違うようだな」
「うん!これが兄さんで、こっちが姉さん。で、これが俺」
「こんなに可愛く描いてもらえるなんて……嬉しくて泣きそう。サスケくんありがとう」
わしゃわしゃとサスケの頭を撫でる名前。髪がボサボサになっちゃうと言いながらもサスケの表情は誇らしげだ。
「せっかくだから、窓際に並べて吊しておくか」
「ありがとう!兄さん」
「てるてるぼうずも飾ったし、近いうちに雨も上がるかもしれないね」
窓際に並んだてるてるぼうずを眺めながら名前が呟いた。心なしか、さっきより雨の勢いも弱まってきた気がする。そんな名前の言葉を受け、イタチも窓の外に視線を向けた後、二人を手招いた。
「サスケ、名前、晴れたら団子でも食べに行こうか」
「行く!」
「行こう!」
イタチの提案に二人は身を乗り出して答えた。そして早速何の団子を食べようかと相談を始めている。そんな二人の表情は至って真剣で「みたらし……でもあんこも捨てがたいよね」「俺は甘さ控えめのやつがいい」などと話しており何とも微笑ましいその光景にイタチは静かに笑みを浮かべた。
早く雨が上がればいい。もう一度窓の外に視線をやれば、雲の切れ間から柔らかな光が差し込んでいた。
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