先日の約束通り、俺は姉ちゃんに忍術を見てもらっていた。手始めに二人に分身して見せれば、姉ちゃんは「本当に忍者なんだね」と驚いていた。
「へへ、すっげーだろ」
「分身って実際に触れるのね」
「でもこんなのまだ序の口なんだってばよ」
「え?」
「多重影分身の術!」
「!?」
「「「「驚いた?驚いた?」」」」
今度は多重影分身を使い、百人以上に分身した。
「驚きすぎて言葉にならないよ。百人くらい、かな?」
「まあそんなとこだな!まだ増やすこともできるってばよ」
「ナルトくんには驚かされてばかりだね。こんな術ができるなんて、君は本当に優秀だね」
「へへ、そんなに褒められたら照れるってばよ」
「ナルトくん、凄い」
姉ちゃんの細くて綺麗な手が頭に乗せられる。よしよし。優しい手つきで撫でられるたび、胸の中があたたかい何かで満たされていくような、そんな気がした。
「……もし、本当に姉ちゃんがいたら、こんな感じなのかな」
こうして忍術を見てもらって、褒めてもらえたりするのだろうか。もしも俺に、家族がいたら。
「ナルトくん?」
「あ、えっと、なんでもないってばよ!そんなことよりさ、また新術作ったら見てもらってもいい?」
「うん、勿論」
「やったー!俺ってば頑張っちゃお!」
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