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BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -
※暗部所属時の話

「名前、ちょっとこっち来て」

 一晩がかりの任務を終え、ようやく帰宅できると安堵した瞬間。背後にいたカカシ先輩に呼び止められた。

「えっ、まさか残業ですか。嫌ですよ帰ります」
「いいから来て。上司命令」

 残業させられそうになったら聞こえないふりをして帰ろう。そんな決意をしながら先輩に近寄ると、彼は無言で私の額に手を当てて溜息を吐いた。

「やっぱりな」
「……」
「風邪でも引いたか」
「平熱です」
「これで平熱なんてよく言うよ。相当無理してたんじゃない?」
「無理なんてしてません。適当なこと言わないでください」

 任務前から体調が悪かったのは事実だ。ただ、今回の任務はどうしても休むことができなかったので薬で誤魔化しながら参加していた。

「え、」

 考え事に気をとられていると不意に視界が揺らいだ。次の瞬間、私は先輩に横抱きにされたのだと理解した。

「下ろしてください! 誰かに見られたら誤解されます。変な噂が流れたらどうするんですか」

 いくら今が明け方で建物の上を移動しているといっても、ここは忍の里だ。いつどこで誰が見ているかわからない。もし誰かに見られて変な噂を立てられでもしたらどうするのか。ただでさえ誤解されてるのに(主にテンゾウ)。

「オレは気にしないけど」
「私が気にします」
「こら、いい子だから暴れない」
「子供扱いしないでください。先輩のそういうところ嫌いです」
「はいはい」

 無事に任務を終え、緊張の糸が切れてしまったのだろう。身体は重いし落ち着いていた頭痛が酷くなっている。こうなってしまっては仕方がない。私は誰にも見られないことを願いながら瞼を閉じ、先輩に身体を預けることにした。

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