私は自他ともに認めるブラコンである。だってしょうがないじゃないか。あんなにかっこよくて優しい兄達に日々甘やかされて慕わないはずがない。それでも、ふと考える。兄達に彼女ができたとき、私は耐えられるだろうかと。親友に彼氏ができたときですらショックで暫く落ち込んだくらいなのに。
例えば長男のマダラ兄さんに彼女ができたとしよう。当然だけど兄の一番大事な人はその彼女になるわけで、いつかは彼女と結婚してこの家を出て、きっとどんどん私の知らない兄になって、それから……。
「……、」
うわ、どうしよう泣けてきた。想像だけでもこうなるのに現実になったらどうするんだろう。悲しすぎて写輪眼開眼間違いなしだ。嬉しいけど嬉しくない。
「名前?」
「マダラ兄さん」
「!? どうした、誰かに何かされたのか」
私の涙に気づいた兄さんが真っ青な顔で近づいてきた。ほらそうやって優しくされたらますます兄離れできなくなっちゃうよ私。
「兄さんのせいだよ」
「どういうことだ」
「優しくしてほしいけど優しくしないで」
「何が言いたい」
「兄さんたちが結婚して遠くに行くこと考えてたら……う、」
半ば自棄になりながら、勝手に想像して勝手に傷ついているだけだからほっといてと顔を逸らす。
「名前」
両頬に手を添えられて真正面から瞳を覗きこまれた。ちくしょう兄さんめ相変わらず憎たらしいくらい顔が良い。
「泣くな。オレがお前から離れることは生涯ない」
「それはそれで問題でしょ……」
そういえば兄たちのシスコン具合も相当だった。
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