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※刀剣パロ。何でも大丈夫な方のみどうぞ

 刀剣男士を顕現したら、うちはマダラと名乗る男が現れた。彼の第一声は「まさかお前のような小娘に呼び出されるとはな……たいしたやつだ」だった。褒められてるのか貶されてるのかよくわからなかったので適当に愛想笑いで流しておいた。

 刀剣男士は数多く存在しているが、どうやらこのうちはマダラという男、かなりのレア刀らしい。しかも既に本丸にいるうちはサスケ、うちはオビト、うちはイズナの眷属だとか。なんでもうちは派の中で一番最初に作られた刀らしく、本丸では最年長ということになる。通りで態度も大きいし偉そうなわけ……あ、やばいマダラさんこっち見てる何でもないです。

「おい、なぜオレを近侍にしない」
「なぜって言われても……」

 今の近侍は太刀のイズナくんだ。イズナくんは私が初めて顕現した太刀で、この本丸の古株の一人である。優しく穏やかな彼を私はとても頼りにしていた。だから近侍はずっとイズナくんだったし、これからもそのつもりでいたのだけど。

「聞けばイズナは本丸に来て以来、常に近侍を務めているようだが」
「そうですけど……」
「たまには暇のひとつでも与えてやったらどうだ」
「暇、ですか」
「安心しろ、イズナの代わりはオレが務めてやる」
「……」

 すぐ傍で控えているイズナくんを見ると、眉を八の字にして困り顔を浮かべていた。イズナくんにとってマダラさんはお兄さんだから、兄の言葉にどう答えるべきか迷っているのだろう。

 正直、近侍は代えたくない。マダラさんといえば、いつも小難しい話を振ってくるし、あたりまえのように肩を抱いたり腰に手を回してきたりするし、作業を頼んでも「オビトにでもやらせておけ」と書類をポイするし、どうしてそれで自分が近侍に選ばれると思っているのか謎だ。

「名前、ちょっと耳貸して」
「……イズナくん」

 呼ばれるまま耳を貸すと、イズナくんはこう続けた。

「少しだけ兄さんを近侍にしてあげてくれないかな。多分そうしないと話が進まないと思うから」
「でも……」
「事務作業や雑用なら今まで通り俺も手伝うよ。それに兄さんが変なことをしないように見張りもする」
「……」
「一度近侍をすれば気も済むだろうから、ね」
「……わかった」

 イズナくんにお願い、と言われてしまっては断ることもできず、私は渋々近侍交代を了承した。マダラさんが四六時中傍にいるのは本当に疲れたけど、イズナくんが今まで通り色々と手伝ってくれたので負担は少なかった。もうマダラさんのことは気にしたら負けだと思うことにするしかない。


「マダラさん暑苦しい」
「そうか」
「離れてください」
「断る」

 机に向かう私の背には背後霊のごとくマダラさんがくっついている。髪が首筋にあたってくすぐったいし暑いし何なんだ。お腹にもがっしりと腕が回されていて、自由に動くこともできない。

「そういえば、また新しい刀剣男士が実装されたみたいですよ」
「別に必要ないだろう」
「鍛刀限定で現れるらしいので、お迎えできるかわかりませんけどね。というわけでマダラさん、お願いしてもいいですか」
「……」
「こういうときだけ無視しないでください」
「……」
「……鍛刀してくれたらお礼に稲荷寿司を差し上げます」
「このうちはマダラを食い物で釣る気か?」
「人聞きの悪いこと言わないでください。ただのお礼です」
「それも悪くはないが、今は別のものがいい」
「別のものって……んっ」

 くるりと身体の向きを反転させられたかと思えば、私のすぐ傍にマダラさんの顔があって。ろくに抵抗する間もなく唇が重なった。ま、待って何でキスされたの今!

「な、何を……!」
「今の口づけに免じて鍛刀は手伝ってやる。ついて来い」

 わけがわからず固まる私をマダラさんはズルズル引きずっていく。嘘だ信じられないファーストキスの相手がマダラさんなんて!理想のシチュエーションとか、初めては好きな人と、って色々考えてたのに!

「始めるぞ」

 キスの衝撃が尾を引き、鍛刀部屋に到着しても頭は真っ白だった。もう新しい刀剣男士とかそっちのけである。ああ神様時間遡行軍になってさっきの出来事を修正してもいいでしょうか。審神者だけど歴史改変の許可をください。私に関する歴史を改変するだけだからお願いします。

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