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※現パロ

 目が覚めると窓の外は一面の雪景色だった。昨日のうちに買い物を済ませておいて良かった。そういえば昨夜の天気予報で大寒波が来ると言っていたことを思い出す。これまで「雪が降る」と言われても降らないことが多かったので、雪に関してはあまり天気予報をあてにしていなかったけれど、今回は大当たりのようだ。この町に雪が積もるなんて滅多にないし、せっかくなので厚着をして家を飛び出した。

 積もっている雪をせっせとかき集め、頭に浮かんだイメージを形にしていく。指先からどんどん冷たくなっていくけれど、楽しさが勝っている今は特に気にならなかった。昔もこうして雪で遊んだなあとぼんやりと過去に思いを馳せながら、鼻歌まじりに手を動かす。


 家を飛び出して数十分、私の足元には小さな雪うさぎが二匹並んでいた。我ながらなかなかの出来だ。完成した雪うさぎたちを見てもらうべく、私はこたつで携帯をいじっていたサスケを庭へ連れ出していた。

「どう?結構可愛いでしょ」
「……」
「……」
「……まあ、いいんじゃねーの」

 そう言うとサスケは寒いと呟いて家へ戻ってしまった。イタチ兄さんにも雪うさぎを見てもらいたかったので、私もサスケに続いて家に入り、今度は兄さんの部屋へと急いだ。



「名前」

 雪遊びを一通り堪能し、冷えきった身体をこたつで温めていると兄さんがやってきた。

「どうしたの?」
「サスケが雪うさぎの写真を待ち受けにしていたぞ」
「えっ?」
「さっき後ろを通ったときに携帯を見ていて、少しだけ見えたんだ」
「それ、さっき私が送った写真かも」

 サスケは「送らなくていい」と言っていたけど、私にしては珍しく良くできた作品だったので送りつけていたのだ。てっきり削除されたとばかり思っていたのに、まさか待ち受けにしてくれているとは。

「素直じゃないね、サスケは」
「誰が素直じゃないって?」

 噂をすればなんとやら。眉間に皺を寄せたサスケがこたつに入ってきた。どうやら話の最後の部分だけ聞いていたらしい。

「素直じゃないサスケが可愛いって話をしてたんだよ」
「意味わかんねえ」
「そうだよね、兄さん」
「ああ、そうだな」
「……」

 これ以上詳しく話す気がないことを察したのか、サスケは微妙な表情のまま手元の携帯へ視線を移した。この位置からは見えないけれど、あの携帯の待ち受けは私が作った雪うさぎになっているんだよね。その事実が嬉しくてふふふと笑っていると、サスケに睨まれてしまった。

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