貴方を待っています | ナノ



今幸せかと問われれば幸せだ。もう、うまくいきすぎて怖いくらい。
仲良いね、羨ましい!と言われるけれど、私も羨ましかったりする。友人が。
友人は、ちょくちょく相談をしてくる。
彼氏と喧嘩をした、と。それが私は羨ましい。
喧嘩なんてしたことないんじゃないかな。だって、少しもめてもいつも宮地が呑んでくれている。いや、それが不満ってわけではないんだけれど。少しくらいは粘って欲しいな、みたいな。
喧嘩するほど仲がいい、という言葉が私たちの間にはないから何故か寂しいな、なんて思ってしまうこともある。
それを友人は、幸せじゃん!なんて言ってくるから困ったもの。
友人、その言葉そのまま返そう。

ま、別に喧嘩がしたいです、ってわけではないんですけど。
いや、うそをつきました。実は一回は恋人と喧嘩をしてみたいです。
あくまで希望なのだけど。


「宮地ー!」
「ん?」
「一緒にかえ・・」
「わり、今日は一緒に帰れねぇ」
「うん、わかった、じゃあね」


ああ、あんなこと考えていた罰か。オーマイガー。今日、一緒にコンビニよってもらおうと思ったのにな。


「宮地ー!」
「わりぃ!今日も・・」
「あーわかった・・」


うんーまたか。テスト期間中だし部活ないはずだし。宮地、今回は自主練しないって言ってたのに。浮気か、浮気なのか。・・・本当にそんな気がしてきた。怖いな。


「宮地ー!」
「あー今日も・・」
「‥ねぇ、いつも何してるの?自主練じゃないでしょ?」
「‥何怒ってんだよ」
「別に怒ってないよ、聞いてるの」
「それを怒ってるっていうんだよ」


そうだよ、怒ってるんだよ。自主練なら自主練って言ってよ。いつもいつも帰れないってどうして。普段は部活で忙しいから一緒に帰れないのに。


「ったく、素直じゃねぇな」

素直じゃなくて悪かったね。それでは素直じゃない私は帰らせてもらいます。

「帰る」
「すねんなよ」
「すねてない」
「可愛くねえなぁ」
「可愛くないよ」
「まじで怒ってんの?」

何、それ。何その聞き方。イライラする。
‥私こんなにイライラするの初めてだ。

「素直じゃないし、可愛くないし、怒ってる!宮地の馬鹿!」
「お、おい!!」

後ろから声はするけど知らない。知らない振りをしてスタスタ歩く。

「なまえ‥」

ものすごい近くから私の名前を呼ぶ声。
いつの間にか宮地は私の肩を掴んでいた。振り払おうとしたけれど無理だった。
宮地がキスしてきたから。それに今の私に振り払うことのできる力はなかった。

「泣くな、俺が悪かった、ごめんな?」
「み、宮地の阿呆‥」

ぽすんっと宮地の腕に収まる私はそうたいして怒っていなかったらしい。本気で怒っていたら振り払っていた。

「実は言うと‥だな、なまえの誕生日プレゼントを悩んでた」
「‥へ」
「こういうときしか一緒に帰れねえのに彼女ほったらかして男と帰るって馬鹿だな俺」
「馬鹿だ‥」
「あ?轢くぞ」

喧嘩して仲直りして、いままでよりももっと愛が深くなるっていうのが私は羨ましかった。
喧嘩した後は仲直りをして‥もっと好きになるから。
けれど喧嘩は‥嫌かな。

というわけで前言撤回、喧嘩したいなんて嘘です。



すれ違いラヴァーズ


20140226
20140227最後の文章付け足し





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