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拝啓 宮地清志様





ある日俺のところに一通の手紙と花びらひとかけら。内容はものすごく単純なものだった。

元気にしていますか?なんて清志にかける言葉じゃないね。
なんて書けば怒るかな、なんて思いながら書いています。
だっていつも会っているんだもん。
何で今日、この手紙が届いたでしょう?
多分、清志なら、もう感づいたからかな。
そう、今日は私たち二人の記念日。
付き合ってもう5年です。早いね。
今は私たちは結婚しているんでしょうか。
まだお互い照れながら彼氏彼女という関係で結ばれているのでょうか。
実はこの手紙、書いたのは手紙が届いた日の5年前なんだよ。
驚いた?だから今、私が清志と付き合っているのかも別れたたのかも分かりません。
私は5年後も、その先もずーっと清志と付き合っていく、一緒にいる自信があるから手紙を出しました。5年前に。
今どき郵便局でこんなことができるなんて思ってなかった。
それから、手紙と一緒に花びら一枚入ってたでしょう?
それは今日、今でいう5年前の今日に拾った桜の花びらです。
まだ3月の上旬だというのに桜の花びらが落ちてました。
綺麗だな、と思って手紙と一緒に送りました。
ちょっと長いかな、なんて思ったりするけれど意外にも手紙だと書きたいことがたくさん出てきて、どうにも終われそうじゃないや。
でも、終わっとく。私、長い文章苦手だから。
あ、笑わないでね?笑ったら怒るよ!ってわからないか。
じゃあね、また明日にでも会おうね。敬具



手紙と一緒に送られてきた花びらは枯れていた。
それを見て俺は思わず泣きそうになった。
彼女はこの花びらと同じように枯れてしまったから。





彼女がかえらぬ人となったのはちょうど5年前の今日。


20131120



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