君の気持ち、僕の気持ち。 44



「よかったー」

「ほんとにごめん」


ふたりして大泣きした次の日

大野はいつも通りに戻り瀬戸と仲直りした


「ほんと、安心した・・・いつも通りに戻って・・・ふたりが別れてなくてほんとによかった」

笑った瀬戸

それにつられて俺たちも笑う


冬の朝の教室は寒い

それでも俺たちは暖かかった


暖かい気持ちでいっぱいだった





「――・・・大野顔なした?」


ホームルームの時間が近付き人が集まり始めた教室

大野と同じ剣道部の竹田がそんなことを聞いた


俺が昨日叩いた頬の腫れは引かなかったようだ


俺が叩いたと言おうか悩んでいると大野が口を開いた







「恋人に叩かれた」







この言葉に誰もが耳を疑った





「え!?大野付き合ってる人いたの!?」


竹田の大声であっという間に教室中に情報が行き渡る


「ずっと前からいるよ」


ざわつく教室

微かに「やだ〜」とか「ショック」とか言う声が聞こえて「大野と付き合っているのは俺なんだ」と思うと少し優越感が沸いた


「え、でも何で叩かれたの?」

「俺が・・悩んでたから・・・説教してくれた」

「叩く必要あったの?」

「それで俺は気付かされたし、救われたから――・・・」

大野がこちらを見る

ドキッと胸が高鳴る



「・・・ね、佐東」


「――そうだね」



顔が熱い

机の下で手が静かに重なる


誰かに見られてないか、ドキドキするけどそれがよかった

今までとは違うドキドキ



幸せだって、心から思う



俺たちはもう大丈夫




周りにバレてしまっても



偏見されてしまったとしても



見方でいてくれる人が居るから




守ってくれる人が居るから







お互いに、強くなれたから――。



44 完


(140601)



戻る


 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -