『もう少しで学校祭だというのに全然学校に来ない上に、係りの仕事をやらずに帰ってしまうのでクラスの怒りもどんどん溜まってきまして・・・』
8月下旬
柊太の担任からそんな相談を受けた
柊太はこの間よりも学校に行かなくなっていた
担任から電話が来る度に「ちゃんと行くように言っておきます」と言っている
でも俺は毎回柊太を説得することができない
何故なら柊太は俺の話さえも聞きたくないほど俺を嫌っているから
要は話ができないのだ
その度先生に悪いと思いながら柊太をこんな風にしてしまった自分に嫌悪感でいっぱいになった
――ピンポーン
家の中にチャイムが鳴り響く
あぁ、またかと思いつつ玄関の扉を開ける
「こんにちは、柊太いますか?」
「今出掛けましたが」
柊太がいつも何をするために学校をサボっているのか知っている
何人もの男性を引っ掛けて気に入った相手とは何度も会う
決して付き合うわけでも無いがこうしてお互い家を行き来している
確かこれで4人目
柊太がこうなったのも俺の所為かな・・・――
「柊太は居ませんが俺じゃダメですかね」
柊太には真面目な道を歩んで欲しい
こんな風に身体だけの関係を楽しんで欲しくない
「俺が代わりに相手しますよ」
これが君に対する償い
ほんの一握りにも満たない小さな小さな償い。
07 完
(140426)
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