泣きたい時は泣いても良いんだよ?




「勇人・・・」


「何ですか?」




俺と勇人は今向かい合っている

俺がベッドに座り勇人がベッドの前に立っている状態


「手」

「て?」


俺が手を差し出すと勇人はその上に自分の手を置いた

そしてその手をそのまま握る


「何か我慢してることない?」

勇人は何のことか、と言うように一瞬固まった後笑いながら「何にも無いですよ」と言った

偽物の笑顔で


「嘘つき」

「え?」

「・・勇人君はそんなんで俺を騙せるとでも思ってるんですか!?」


わざと君付けをし敬語で言ったら勇人はきょとんとした


「俺、勇人のこと大好きなんだからわかるよ・・・我慢してること」


手を引っ張ってこちらに近づける

腰をグッと引いたら勇人は片膝だけベッドの上に付いた


「泣いて良いよ?」

「へ?」

「何があったかはわからないけど泣きたいんでしょ?」


そう言うと勇人は少し下を向いた


「見てたらわかるよ・・・元気無いのも落ち込んでるのも悲しそうなのも」


頭をそっと撫でると勇人は観念したようにこちらに寄ってきた

「何で・・わかるんですか・・・気づかれないようにしてたのに」

勇人は苦笑い混じりにそう言った


「言っただろ?勇人のこと大好きなんだって」


「っ・・・い、んですか?俺、1回甘やかされたら我が儘になっちゃいますよ・・?」

勇人は俺の胸元に顔を埋めて泣き声混じりに言った

「いいよ・・・我が儘聞かせてよ」


言った後に頭を撫でると勇人は泣いた

俺に頼りながら泣いた


今までの積み上げてきた想い全部俺が受け止める



もちろん今日だけじゃない


明日も明後日も来年も


これからずっと貴方の想いを受け止める



貴方の心が晴れるまで



何度でも貴方の我が儘を聞き続ける。





*end*



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