愛。 05



数年前、俺は弟に対して何度謝っても償えない罪を犯した


結果的に人生を奪ったその日から弟は俺の前で笑わなくなった――・・・










「柊太?どこ行くの・・・学校は?」

「・・・」


高校に入学してから3ヶ月

柊太は時々学校を休むようになった

しかも無断で


この間学校から電話が来て知った



「・・・柊太、」

柊太は俺の言葉を一切聞かず外へと出ていった

呼んだ名前は扉の締まる音に遮られた




「・・・」

受話器を手に取る

掛ける場所は決まっている


「もしもし、1年A組の岸ですけど・・今日は体調が優れないので休ませて頂きます・・・はい、失礼します」


どうしてこんなことになってしまったのだろう


どうしてあんな風になってしまったのだろう


どうして・・・その答えの全てに俺が居る



全ては俺の所為




2年前、君の笑顔を奪った俺の所為。



05 完


(140423)



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