愛。 04



先ほどまで使っていた筆を洗いに行き、戻ってくると美術部の教室の前にかずきくんこと嶋田先生が居た

声を掛けようと近付いたら先生の前に人が居ることに気が付いた


――この顔に傷が付いている子は・・・




「美術好きなの?」





部員は俺しか居なく、新入部員さえも入ってこなくて廃部の危機を迎えていた美術部

どうしようかと先生に相談をしたとき、入部が決まっていない生徒がひとりだけいることを教えてくれた


名前は確か岸くん

岸くんに声を掛けてみてほしいと先生に言われた

そして岸くんが美術部に入れば少なくとも来年までは廃部の危機を免れるだろうと言ってくれた


まさにグッドタイミング


けど、俺は岸くんが言った言葉で入部させることを諦めかけた


だって『二度とその名前俺の前で出さないでもらえますか?腹が立つので』なんて言っちゃうんだもん

低く放たれたその言葉に“恐い人なんだ”って思った

冷たい瞳にチキンな俺は正直言ってあまり関わりたくないと思った


けどここで諦めるわけにはいかないんだ




廃部にさせる訳にはいかないんだ






絵で全国優勝するまで








それが俺の夢だから。



04 完


(140423)



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