愛。 01



「うちの学校では部活動には必ず入っていただきます」


中学の後半ほぼ不登校だった俺は名前を書けば誰でも合格できるような高校に入学した

あまり学校の情報を見ずに入ったが、どうやら部活必須らしい


「えー、遅くとも5月後半までには決める様に」


・・・と説明を受けたのは4月


現在7月

目の前には担任の先生が居る


「まだ入部届け出してないのお前だけだぞ・・・――岸」



「・・・はぁ」

「今から部活見学してこい、先生も付いていってやるから・・・と言いたいところだけど、先生今から会議なんだわ」

その言葉を聞いて俺は“今日は見逃してもらえる”そう思ったが


「お、ちょうど良い所に・・・嶋田先生!」


それは甘かったようで


「はい?」

担任は廊下を歩いていた先生を呼び止めた

「何ですか?吉田先生」

「今空いてます?良ければこの子の部活見学に付き合ってくれません?」

「良いですよ」


断れよ

そう心の中で呟いてその教師から目を背けた


「岸、知ってると思うがこちら養護教諭の嶋田一樹先生」


知らない、興味無い


「嶋田先生、この子はA組の岸柊太です」

「わかりました、岸くんよろしくね」

何、

この小学生みたいな扱い

自己紹介とか自分でできるし、そんな風に手を差し出されても・・・



俺はその手を握らずに立ち上がった

無視をされた先生は少しばつが悪そう頭を掻き、俺に並んで歩き始めた




俺と養護教諭の部活見学。



01 完


(140423)



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