「ねぇ・・・抱いてよ」
それはあまりに衝撃的な言葉で今何と言ったのか理解するのに必死だった
「しよう?」
表情がよく見えない
佐々木は今いったいどんな顔をしてそんなことを言っているのだろう
「・・・こっち向いて」
半ば無理矢理こちらを向かせて何も言う間無く口付けた
俺の上に乗るような形になっていた佐々木をベッドに転がし組み敷いた
そしてそのまま口付けを深くしていく
「んっ・・・っ、」
キスをしながら薄目に佐々木の顔を見ると目を強く閉じ、心なしか少し震えている様な気がした
それを確かめる為に佐々木の手に触れるとビクッと反応し、その手を握ると震えが伝わってきた
あぁ、やっぱり
「・・・無理しなくていいから」
唇を離してそう言うと佐々木は驚いた顔をした後、悔しそうな顔をした
震えている手を離し、大丈夫か問いかけようとしたとき、左頬に衝撃が走った
「っ・・・、」
どうやらビンタされた様で、頬がズキズキと痛み、熱くなっていった
何故叩かれたのか若干の苛立ちを感じ、佐々木の顔を見ると涙をボロボロと流していた
「無理って何!?俺が何を無理してるって!?」
佐々木は怒鳴りながらそう言うと、また手を振り上げた
その腕を反射的に掴み落ち着かせようと試みたが落ち着く気配は無かった
「っ・・・ごめん、」
「何に、謝ってんのか・・!解ってないくせにっ!」
「うん・・・けど、ごめん」
何度も、何度も謝って強く抱き締めて、拳を受け止めて
そしてまた何度も謝った
そうして落ち着いてきた佐々木は涙を流したままたったひとこと俺に「ごめん」と言った。
45 完
(140309)
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