このふたりで以後よろしく。 43



田中にあんなことを言われてから3日経った

あれから田中はこの話題に触れてこない

何だかホッとしたような、逆に腹が立つような・・・


そう色々考えているうちに今日のバイトも終わり、携帯を開いてみると信じられない人物からメールが入っていた











「ねぇ田中」

「何?」

「親父からメール入ってたさ」

一瞬空気が固まる

その固まった空気を田中は無視して冷静に「何て?」と聞いてきた


「お金入れるから口座番号教えてくれって」

「お金?何で?」

「生活大変だろうって・・・なーんかいきなり父親ぶられてもって感じ」

その俺の言葉に田中は何も言わずにただ「ふーん」とだけ返した


「どうしたらいいのかな?もし教えて悪用とかされないかな?」

「知らねぇよ」

「はぁ?」

こっちは真面目に相談してんのに・・・なんだこいつ

「もういい」

「だってそうだろ?信じるも信じないもお前次第じゃん、俺がどうこう言ったってお前の決断は変わらないでしょ?」

その言葉に何も返せなくなる

あぁ、その通りだと思ってしまったから


「それともお前は本当に父親の事を、もう他人だと思っているわけ?」

「――・・・」


俺は問いかけに無意識に首を振っていた


そっか

きっと答えなんてとっくに決まっていたんだ




「信じてみる」



たったひとりの父親だから。



43 完


(140203)



戻る


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -