田中にあんなことを言われてから3日経った
あれから田中はこの話題に触れてこない
何だかホッとしたような、逆に腹が立つような・・・
そう色々考えているうちに今日のバイトも終わり、携帯を開いてみると信じられない人物からメールが入っていた
「ねぇ田中」
「何?」
「親父からメール入ってたさ」
一瞬空気が固まる
その固まった空気を田中は無視して冷静に「何て?」と聞いてきた
「お金入れるから口座番号教えてくれって」
「お金?何で?」
「生活大変だろうって・・・なーんかいきなり父親ぶられてもって感じ」
その俺の言葉に田中は何も言わずにただ「ふーん」とだけ返した
「どうしたらいいのかな?もし教えて悪用とかされないかな?」
「知らねぇよ」
「はぁ?」
こっちは真面目に相談してんのに・・・なんだこいつ
「もういい」
「だってそうだろ?信じるも信じないもお前次第じゃん、俺がどうこう言ったってお前の決断は変わらないでしょ?」
その言葉に何も返せなくなる
あぁ、その通りだと思ってしまったから
「それともお前は本当に父親の事を、もう他人だと思っているわけ?」
「――・・・」
俺は問いかけに無意識に首を振っていた
そっか
きっと答えなんてとっくに決まっていたんだ
「信じてみる」
たったひとりの父親だから。
43 完
(140203)
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