このふたりで以後よろしく。 42



「お前さ、金どんくらい貯まったの?」

卒業式まであと半月と迫った日

田中が突然そんなことを聞いてきた

「んー・・・こんくらい?」

丁度通帳を見ていた俺は田中にそのまま見せた

田中はその通帳をじーっと見た後、意味の解らない言葉を発した

「そっか、じゃあ卒業したら一人暮らしできるな」

「・・・は?」

「学校こっから通えるって言ってたけど近い方が良いんじゃないかと思って」

ますます頭に?が浮かぶ

何言ってんだ?

確かに俺の通う学校は2駅先だけどそんなに遠くない

わざわざ近くに越したってあまり意味ない

「何?俺がいつまでもここに居ると迷惑?」

「いや・・・」

暫しの沈黙が流れた後、田中が「あー」と間延びした声を出した


「やっぱ迷惑かも」

「――・・・そう」

あれ、自分で聞いたことなのに案外ショックかも


理由は?

どうして「迷惑」なのか聞きたいけど聞けないでいると田中が俺の心を見透かした様に「だって」と言った


「お前にこれ以上酷いことしたくないし」

「・・・酷いことって?」

「お前が嫌がるようなことだよ」

うん、この間デパートのトイレでしたことや田中の大好きなSMプレイとかのことだよね

酷いとか最低とかは言ったことあるけれど・・・

俺嫌だって言ったことは無いよ?

てか田中にされるなら嫌じゃないって言ったよな?


そう色々考えていると田中がまた話始めた



「それに、ちゃんと恋愛してほしい」




ちゃんと?


ちゃんとって何だ?


今俺はちゃんと恋愛していないのか?




「・・・別れるってこと?」



その言葉に返事は無かったがそれは肯定の意だろう



「無理だよ?」


それを俺は否定した


「だって俺、こんなに田中のこと好きなんだよ?少なくてももう女とか好きになれないし」


恥ずかしい事を言っていると解っているのに、言い出したら止まらなくなった口

それを田中は黙って聞いていた


「てか何?勝手に俺の事こっちの世界に引きずり込んどいて、また勝手に捨てるわけ?」

「・・・」


くそ、何で何も言わねぇんだ


「とりあえず、俺は嫌だから」



そう言って部屋を出た



あぁ、泣きそう

たったあれだけの事で、相当馬鹿だな、俺。



42 完


(140202)



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