“田中本当はいい人なんだろうし”



半年程前の夢を見た

俺は前好きだった奴に酷いことをした

傷付けてでも手に入れたくて消えない痕を何個も付けた

けど佐々木を好きになって気が付いたんだ


俺は何をやっているんだと

好きだからって相手を傷付けていいのか

それは駄目に決まってる

だって俺のものじゃないのだから

人は誰の物でもない

ひとりひとり自分は自身のものなのだ

自分自身を誰かにあげるのはその人が決めること

他人が決めることじゃない


そう気が付いたから､俺はあいつ･･･藤原に今までのことを謝った

そしたら藤原は前文の様に言って許してくれた

そして他に好きな人ができたと告げると､その人には酷い事したら駄目だと言われた

だからだろうか

佐々木をあまり傷付けないようにしているのは


いや､理由はもうひとつ



佐々木とは両想いだからだ


藤原の時は酷く嫌われていたからそれ以上嫌われてもどうともしなかった

ただ手に入れたかった

けど佐々木とは両想いになれて付き合えて､まだ嫌われていないから

嫌われるのが恐いからだ


でもこの先も我慢していられるか解らない

俺はもともと人を傷付けるのが好きな人間だから､そのうち我慢できなくなる

そうなるとせっかく許してくれた藤原を裏切ることになる

それはしたくない

佐々木を傷付けることもしたくない

けどそれをしない方法はひとつしかないんだ


やっぱり､佐々木と距離をおくべきなのかもしれない


嫌だけど､それしかないよな｡



41 完


(140119)



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補足
半年程前の夢を見た→藤原に許してもらえたときの夢
藤原→あの空の下でもう1度｡の登場人物
あの空の下でもう1度｡の話しと少しだけリンクさせました｡


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