会いたくなったもので。




「ねぇ、俺今どこにいるかわかる?」


電話中いきなり慎吾さんが言い出した


「?外・・ですかね、風の音がする」


「せーかい」

「何で外?もう夜の11時ですよ」


「好きだよ」


話し逸らされた・・・

でも悪い気はしない


「・・俺も好き、ですよ」


「会いたくって会いに来ちゃった」



ーー―は?


そう思ったのと同時に窓の方からコンコンと音が聞こえた


振り向くとそこには―・・・


「ぅわぁあ!」


びっくりして思わずを椅子から飛び降りカーテンを閉め携帯を切ってしまった


そのままへなへなとベッドに座る


窓の方を向いたまま


ーーピリリリ

「っ!」


携帯が鳴りまたびっくりする


「も、しもし」

「そんなびっくりした?」

「すごく・・・」

「ねぇ開けて、顔みたい」

「だめ、部屋汚い」

「さっきみたけどそこまでじゃなかったよ?」

「それにっ、」

「ん?」


少し時間を置いてから言った


「今絶対顔赤い・・から、」「ん、開けて」


その言葉でカーテンを開けた

窓越しに伝わる視線はなんだか・・・


そして窓を開けた


「会いに来たよ」


携帯を閉じて抱きつく


「どうしたの、今日は甘えん坊だね」

「うる、さい・・っ」

「ほんとに顔真っ赤」


恥ずかしくて肩に顔を埋めるとぎゅっと頭ごと包んでくれた


あったかい・・・


「勇人顔あげて」


ゆっくり顔をあげると顎を持ち上げられて、ちゅっという軽い音と共にキスされた



「ん・・・またね」


そう言って俺から離れ帰っていった



「なに、しに・・・」


残された温もりと唇の感触に余計な寂しさと嬉しさ


次はいつ会えるのかと楽しみと不安


本当は毎日会いたい



俺等が大人になるまで無理なことだけれども


いつかきっと・・





*end*





おまけ

*そのころの慎吾さん


「・・・」


余計寂しい思いさしちまったかも

そう思って自分の手に拳を作る


「俺の馬鹿・・・」



でもあの時の勇人の顔

「・・・かわいかったなぁ」


でも実は「好き」って言ってくれた時の顔も見ちゃった


あの顔も・・・



じゃなくて

次いつ会えんのかわかんないだからあんまり寂しい思いさせないようにしなきゃ




俺、彼氏として失格かな



でも大人になるまで待ってて



その時はもう寂しい思いはさせねぇ


そう心に決めた



終わり


 
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