君の気持ち、僕の気持ち。 18



「瀬尾くん一緒にやろー」

あとひとりをどうするかと悩んでいたとき瀬戸が瀬尾に声を掛けた

「え・・・瀬尾入れるの?」

「マジ?」

当然ながら俺も大野も反対な訳で

だってあんまり話したことないというか、無視されたことがある

無視されるの嫌いだし、大野も仲良くない人は苦手だし


どうせ断られるだろうし

そう思っていると瀬尾は口を開いた



「一緒に・・・やってもいい?」



予想外の言葉に俺も大野も何も言えなかった







「おい大野、俺の字間違えてる・・・さとうのとうは藤じゃなくて東だから」

俺達はこの四人で班が決まり、大野がみんなの名前を紙に書いていた

すると大野が俺の名前を間違えて書いていた

「めんどくせーな・・・えっと瀬尾・・たくみだっけ?」

めんどくせーって・・・間違えたのそっちのくせに

俺のことなんかどうでもよさそうに瀬尾に話を移した大野に何だか心が痛んだ

「どのたくみか解んないから書いてもらっていい?」

大野が瀬尾にペンを渡したとき、一瞬手が触れたように見えた

「・・・瀬尾、字綺麗なんだな」

そして紙に書かれた瀬尾の字を見て大野はその字を褒めた

「大野じゃなくて瀬尾くんが書けば良かったね」

「おい瀬戸」

瀬戸の言葉に笑って見せたが俺の中では汚い感情が渦巻いていた


俺も大野の手に触れてみたいとか

誉められたいとか


うらやましいなとか



こんなちょっとしたことなのに嫉妬してしまうんだ



ダメだなぁ俺



こんなの重いだけなのに。



18 完


(131228)



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