君の気持ち、僕の気持ち。 10



佐東の家からの帰り道

俺は頭の中で先程のことを考えていた


佐東は俺の質問に答えなかった

それだけならまだしも、引き寄せた瞬間避けられてしまった


さすがに傷付いた


それから、さっきは何を言おうとしていたのだろうか


とても言いづらそうで、何だか表情が深刻そうだった



もしかしたら「別れよう」と言おうとしていたのかもしれない



付き合ってからの佐東はいつも気まずそうで、よそよそしい


勇気を出して告白して両想いだとわかったときは嬉しかった

けど今考えてみれば「俺も好き」なんて言葉、佐東の優しさだったのかもしれない

両想いなんてそう簡単になれるものじゃないのに男同士なら尚更なれるものじゃない

だからきっと断ったら悪いとか、友達としては好きだからとかそんな理由だったのかもしれない


佐東のことだから、別れたいと思っても別れを告げられないのだろう


それなら俺から別れを告げるべきなんじゃないか


別れたくないけど佐東の重荷になりたくない



だから別れることにする



今まで気を使わせてごめん



それからありがとう



けどこんな優しさなんていらなかった



優しさで傷付くことだってあるのだから。



10 完


(131210)



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