君の気持ち、僕の気持ち。 08



「ねぇ、ここってどうすればいいんだっけ?」

「えっと、まず因数分解して・・・」

瀬戸が来て勉強を開始した

けど大野はやる気配が無かった

さっきから窓の外を見ながら猫を撫でてる



「なるほど・・・佐東って案外頭良いよね」

「案外って何さ」

そう言って何気なく大野の方を向くと猫を抱っこしたまま寝転がっていた

「・・・大野寝ちゃったかな?」

瀬戸の言葉にドキッとする

自分が今、大野の方を見ていたということがばれてしまった気がしたから

「もう6時になるのかぁ・・・そろそろ帰るかな」

「ほんとだ、気付かなかった」

そう言いながら大野を残してふたりで玄関へと向かう

「今日は色々教えてくれてありがとう」

「いえいえ・・・また月曜日」

「うん、じゃあね」


別れを告げて居間へ戻ると大野は静かに寝息を立てていた

風邪を引かないようにとタオルケットを掛けたときだった

大野が目を開けた

「っ・・・あ・・の、」

「・・・なぁ、俺と一緒に居るの嫌なの?」

質問の意味が解らなかった

一緒に居るのが嫌・・・?

どういう意味か考えているといきなり腕を捕まれ引き寄せられる

それに俺はびっくりして身を引いてしまう


「――・・・帰るわ」

「っ、え・・・?」


大野は言葉の通り、玄関へと向かっていった



帰ったら、嫌だ


そう思った俺は大野の後ろを追いかけていた。



08 完


(131209)



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