何気なく想う | ナノ
 

気なく想う



「俺真ちゃんのこと好きだなぁって思う」


部活からの帰り道

高尾がいきなりそんなことを言い出した

その言葉に俺は何も言えなくてマフラーに口元を埋めた


「はは、寒いなぁ・・・俺の自転車が壊れたばっかりに寒い中歩く羽目になってごめんな」

「いや・・・自転車は速度が早い分風が冷たいからな・・それに体は動かしていた方が暖まる」

「それ遠回しに気にしなくて良いって言ってんの?」

にししと笑う高尾から目を反らす

こうして心を読まれることはよくある事だ

だが未だに慣れない


「真ちゃん手袋は?」

「まだ必要では無いと思ってな」

「もう結構寒いよね」

高尾は何を思ったか自分がはめていた手袋を片方取り、俺に渡してきた

「片方使っていいよ」

「・・・だが、お前の片手が冷たくなるのだよ」

「いいからいいから、こうすっから」

そう言うと高尾は手袋をはめていない方の手で俺の手を握った

「なっ・・・、」

「こうしてれば両方暖かくなるだろ?」


高尾の笑顔に俺はまた目を反らして、またマフラーに口元を埋める


「冷たいね、真ちゃんの手」


あぁ、そうか


「俺の手まで冷たくなっちゃいそう」


何も言えなくなるのは「好きだ」と思うからか


慣れないのも目を反らすのもきっとそうだ


「・・・こうしていれば」

「ん?」

「こうしていればまた、暖まるのだろう?」

「そうだったね」


この早まる鼓動も赤い頬もきっとその所為



「俺真ちゃんのこと好きだなぁって思う」

「・・・ん」


俺も、なんて口に出さなくても高尾なら解っているのだろうな


高尾は俺が好きで俺も高尾が好きなのだから。



end


(131006)



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