嘘 | ナノ








頬に涙が伝った

どうして僕はこんなにも兄さんを責める事しかできないのだろう

本当は兄さんの所為なんかじゃないのに

自分の所為なんだ

兄さんに弁当を誘われたのなんて1回だけなのに

どうしてその後も兄さんの元へ行き続けたのかようやく解った

知らない人しか居ない教室

それがどこか居心地が悪くて

自分から誰かに話し掛けるなんてできなくて

兄さんの元へ逃げたんだ


毎日、毎日


少しずつ、いくつかのグループができていってる事も気付いてた

でも入っていけなかった

その内浮いた存在になって、気が付けばひとりになっていたんだ


だから兄さんの所為なんかじゃないのに


そもそも僕は兄さんが本当に嫌いなのだろうか



そんなはず無い



だって本当に嫌いなら同じ高校に通うはずがないから


僕は心の何処かで思っているのかもしれない



また昔の様に仲の良い兄弟に戻りたいと



全て僕が壊したんだ

兄さんとの関係全てを




嫌いなんかじゃない、好きなんだ

大切な兄なんだ

それなのに僕の口は「嫌い」としか言わない

どうして

兄さんはどうしてこの嘘には気付いてくれない

何故か兄さんは昔から僕が吐く嘘を嘘だと解っていた

それなのにどうして僕が兄さんへ対して言った嘘には気付いてくれない


僕は不器用だ

だから兄さんが気付いてくれなきゃ、自分から嘘だなんて言えない


「気付いてよ・・兄さん・・・、」


そして関係を戻すきっかけを作ってよ


そうしたら笑って嘘でしたと言うから。







(この嘘に気が付いて)



13 完


(130810)



戻る