このふたりで以後よろしく。 38



俺には今まで夢なんて無かった

進路希望を聞かれる度に先生に言われるんだ

そろそろ本気で決めないとヤバイぞって

本当に俺はやりたいことなんて無いし、何もしなくていいのなら一生何もしないでいたいくらいだ

でもそれってやっぱり駄目なことで3年生にもなると俺は完全に追い込まれていた

3年生になって1週間後

田中が転校してきた

追い込まれてマックスでイラついていた俺は田中を意味もなく嫌っていた

でも相手は俺のことを好きでいてくれて

最初は自分の居場所にしようと思って付き合った

今は・・・

付き合って良かったと思ってる

俺も田中のこと好きになったし、人生を大きく変えてくれたから

田中のお陰で親父の事を解決できた

そして一緒に暮らすようになって始めたバイト

大変だったけど意外にも楽しくて、田中に迷惑を掛けないようにと一生懸命で

何だか頑張って何かをするのって気持ちがいいと感じた

それから俺は将来本気になれる何かをしたくなって先生に相談をした

すると先生は俺に「好きなことは無いか」と聞いたんだ

一番に頭に浮かんだのが“髪を切ること”だった

好きとまではいかなかったけど、いつも自分で髪を切っている俺にとって唯一自信があり楽しいと思えることだったから

それから俺は美容師を目指す様になったんだ

未だに美容師になることが俺の夢なのかは解らない

でも頑張りたいと心から思ってる

不思議だよ

今までの俺だったら絶対に“何かをしたい”なんて思わなかったはずだから

田中に変えられたんだ

だから出会えたこと、好きになってくれたこと、好きにさせてくれたこと・・・

ひとつひとつに感謝してる



本当にありがとう



いつか“夢”と胸を張って言えるように

夢を夢で終わらせないように

頑張るから見守っていてほしい


勝手だけど、これが俺の感謝の気持ちだから


どうかこの気持ち受け取ってください。



38 完


(140117)



戻る


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -