無色透明。 失



「それでは明日から3日間、テスト頑張ってください」


帰りのホームルームで先生が言った言葉が全く頭に入らなかった

待ちに待った日がやっと来て、早く行くべき場所に行きたくて朝からうずうずしていた

待ちに待った日

つまり神谷に会える日





あの日からやっと半年が経ったんだ





1日がいつもより長く感じた

長く感じていたはずなのに学校が終わってコンビニに着くまではすごく早く感じた


コンビニに近づくにつれて緊張が増していったから



久しぶりに会えるとかもし居なかったらどうしようとか色んな事を考えた



自動ドアを通って目的の人物を探す



居ることを信じて――・・・


















気が付けば夕方になっていた



神谷は居なかった



夜まで待っても現れることは無かった



今日はバイトが無かっただけかもとか前向きな考えで次の日もそのまた次の日も、テスト終了日まで足を運んだ





けど神谷に会うことはできなかった



現実を受け入れる事は難しくて信じたくなくて、何度も次は絶対に会えると信じた



テストが終わり部活動が再開した


部活が終わった後もコンビニに足を運んだ




そういうことを続けて1週間を過ぎた頃


もう現実を受け入れるという選択肢しか残されて居なかった


神谷には他に好きな人ができたという現実を






静かな空間

自分の足音だけが響く夜道



足に力が入らなくなってその場に座り込んだ





俺、きっと神谷のことが本気で好きだったんだろうなぁ



こんなこと始めてだから


誰かを好きになってこんなに苦しくて、こんなに悲しいのは始めてだから



こんなに泣いたのは始めてだから。



失 完


(130609)



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