長い間、沈黙がながれた
お互い無言になって辺りが暗くなっていることに気が付いた
空を見上げた瞬間成音が突然口を開いた
「俺、生来が好きだった」
その言葉に視線を空から成音に移せば、成音も空を見上げていた
そしてそのまま言葉を続けた
「俺は傍に居てくれるなら誰でも好きになる様な奴なんだ・・・でもそんな半端な気持ちじゃ付き合えない、半端な気持ちで付き合って裏切りたくなかった、だから姿を消したんだ」
成音は視線を少し下げてまたひとこと言った
「案の定、他の人好きになっちゃったしね」
成音の気持ち
始めてちゃんと聞いた
「だから俺は本当に生来の所為だなんて思ってないよ」
夜空を再び見上げれば星空が視界一杯に広がる
けどその視界が直ぐにぼやけて、頬を涙が伝った
「成音からそれを聞けて良かった」
涙と一緒に心の重りがすっと消えていく感じがした
「成音が俺の所為だって思っていない様に、俺も成音がしたこと最低だなんて思ってないよ・・・だから、自分を責めないで」
成音の方を向き、そう微笑みながら言った
目が合うと成音は微笑み返して言った
「ありがとう」
たったそれだけの言葉が、俺の心を暖めた
「今の好きな人と幸せに」
幸せになれるよう心から願うことを誓うよ
この約束こそは絶対に裏切らないから
どうか幸せになってください。
和 完
(130518)
戻る