無色透明。 透



「成音あそこのコンビニで働いてたんだね」

「うん」


公園のブランコに座りながら無言になっては言葉を探すことを繰り返していた


風に揺らされてキィキィとブランコが音を立てる



あぁ、くそ・・・

話したいなことはたくさんあるはずなのに

言葉が何も出てこない



元気にしてた?とか


最近どう?とか


そんな言葉すら出てこない


だって、それって俺が聞いても良いことなのかな?


本当なら成音は学校にいて、そんなこと聞かなくても見れば解るはずの事だったから



「・・・――さっきはどうしたの?」


今の俺が聞いて良いことはこれだけかな


成音が助けを求めてきたさっきのことだけ



「あぁ、さっきね・・・」



暫し迷った様に時間を置いて成音が話し出した


その話の中に出てきた人物

その人物について「酷い」じゃなくて「うらやましい」と思ってしまった


どんな形でも成音に自分の気持ちを伝えられて、避けられても側に居ることができるんだから



「どうしたらいいのかな」

「――・・・成音のバイトが終わったら俺が迎えに行ってあげるよ」

「え?・・・でも」

「いいから、被害が無くなるまでさ・・俺を頼ってよ」







今日本当に成音と話したかった事


それは俺が成音を裏切って、成音が学校を辞めてしった事について

その日から俺の時間は停まってしまっている



でもその話しはもう出来ないんだ

無理なんだ






今日1番言いたくて、でも言ってはいけない言葉







ごめんね



この言葉を口に出したら君はいったいどんな顔をするのかな。



透 完


(130428)



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補足
本当なら成音は学校にいて、そんなこと聞かなくても見れば解るはずの事だったから
→その人の側に居れば
元気かそうじゃないかなんて簡単に解ること
だけどそれは側に居られればの話し側に居れなくしたのは自分だからそんなこと聞く権利ない
という意味です
それでも解りづらいかもしれません・・・
言葉足りず申し訳ないです。



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