「お願いだから付いて来ないで」
「嫌です」
あぁ、もう
どうしたらいいんだろう
好きだと明かされてから一層図々しくなった
このままじゃ恐いし帰れない
店の近くで睨み合ってもうすぐで10分というとき
店に入っていく見覚えのある人
ほぼ無意識に走り出した
店に入るとやっぱり知ってる人物で
咄嗟に助けを求めた
「生来、助けて――!」
「な・・おと・・・?」
岸くんの方を振り返ると目があった
睨むような黒い瞳と
生来が岸くんに気が付いた頃には全く別人の様に笑顔で
「神谷先輩、先に失礼しますね・・お疲れさまでした」
去っていく後ろ姿にほっとして溜め息を漏らす
「成音?大丈夫・・・?」
「あ・・・ごめん、大丈夫だよ」
もう会わないと決めたのに
咄嗟に頼ってしまった
「何かあったなら話し聞くよ・・俺でよければ、だけどね」
「・・・でも、」
「俺は成音と少し話したいな」
――俺だって本当は生来とちゃんと話したかった
でもそれを自分自身が許さなかった
だからあんな感じで、話し合わないまま終わったんだ
今日ちゃんと話すべきなのかな
だから今日巡り合ったのかな
こんな偶然滅多にないよ。
再 完
(130428)
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