あぁ、最悪
夢だと思いたい
「・・・見たの?」
そう聞いても何も返ってこない
見たに決まってるのに聞く俺も俺だけど
見てないって言ってくれれば、少しは俺も気が楽なのに・・・
何も返されないとまずい物を見たって言われてる様なものだから
お互い無言のまま時間が流れた
このまま無言が続くとますます気まずくなるだけだ
そう思って取りあえずは距離を縮めようと一歩前へ出た瞬間、佐々木が立ち上がった
「な、に・・・っお前、そんな趣味あったの?」
拒絶するような瞳に心が何かに撃たれたように痛んだ
あぁもう、どうにでもなれ
俺は佐々木との距離を縮めると腕を掴み、後ろのベッドへと押し倒した
「――っ・・・!?」
「・・・」
大切にしたかった
嫌な思いをさせたくなかった
そう思いつついつかは抱きたいとか矛盾した想いを持っていた
「・・・俺はそういう奴だよ・・お前が嫌がるようなこと平気でやるような奴」
佐々木の腕を掴む手に力が籠る
俺はどうしたらいい?
「今までだって・・好きだからって、自分のものにしたいからって理由で一生残る傷を体に付けてきたよ」
こいつにはそんなことしたくない
大切にしたい
でも自分のものにしてしまいたい・・・
けど――
「嫌なら別れればいい・・・二度と俺の前に現れるな」
今は傷付けたくない・・・大切にしたいっていう想いが勝ってる。
30 完
(130723)
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