このふたりで以後よろしく。 29



今日は何故かバイトが短く、6時過ぎ頃俺は帰宅した

田中はまだ帰ってきていない

俺よりも早く行ったのに俺より遅いなんて・・・

俺ももっと頑張らなきゃなって思うのに、なかなかうまくいかない


「・・・暇」


あれほど暇な時間が欲しかったのに、今はいらない

田中が居ないとつまらない


こんなこと思うようになるなんて、俺も重症だな・・・


「・・・漫画とか無いのかな」

そういや俺ってこの家の何処に何があるのかまったく知らないや

ちょっと暇潰しついでに物の位置でも覚えようかな


初めは最近使い慣れてきたキッチンから調べた

そして次にずっと気になっていたベッドの横の棚の引き出し

開けて良いもんかと思いつつ、その引き出しを開けた



「――何これ・・・、」



開けて驚いた

服に紛れてそこにあったのはロープやライター、それに俺の親父が持っていたような物があった













「何してんの」













突然後ろから聞こえた声に肩をビクッと反応させた

いつの間にか田中が帰ってきたようだ



「・・・見たの?」



そう聞く田中の声が何だかいつもより低くく、俺は怖くて頷く事も何もできなかった


鋭い瞳から目を反らすことすらできなかった。



29 完


(130717)



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