今日は何故かバイトが短く、6時過ぎ頃俺は帰宅した
田中はまだ帰ってきていない
俺よりも早く行ったのに俺より遅いなんて・・・
俺ももっと頑張らなきゃなって思うのに、なかなかうまくいかない
「・・・暇」
あれほど暇な時間が欲しかったのに、今はいらない
田中が居ないとつまらない
こんなこと思うようになるなんて、俺も重症だな・・・
「・・・漫画とか無いのかな」
そういや俺ってこの家の何処に何があるのかまったく知らないや
ちょっと暇潰しついでに物の位置でも覚えようかな
初めは最近使い慣れてきたキッチンから調べた
そして次にずっと気になっていたベッドの横の棚の引き出し
開けて良いもんかと思いつつ、その引き出しを開けた
「――何これ・・・、」
開けて驚いた
服に紛れてそこにあったのはロープやライター、それに俺の親父が持っていたような物があった
「何してんの」
突然後ろから聞こえた声に肩をビクッと反応させた
いつの間にか田中が帰ってきたようだ
「・・・見たの?」
そう聞く田中の声が何だかいつもより低くく、俺は怖くて頷く事も何もできなかった
鋭い瞳から目を反らすことすらできなかった。
29 完
(130717)
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