「學无?」
俺がこっちに越してくる事になった理由
それは両親の離婚だ
「久しぶりに来てくれたのね」
高3になる少し前
春休み中
急に離婚が決まった
離婚してから母さんは鬱になって毎日酒を飲んでは腕を切ったり泣いたり
そんな母さんを見てられなくて1、2年の時していたバイトで貯めたお金で安いマンションを借りて暮らすことにした
それでもやっぱり心配で、たまに様子を見に行ったり生活費を出したりしていた
最近その生活費を酒に使っていることを知って、俺は家に様子を見に行く事も生活費を出すことも無くなった
だから今日来たのは久しぶりになる
「今月生活費キツいのよ」
「・・・母さん、俺がいつまでもお金出してあげられる訳じゃないんだよ?俺だってもうバイトしてないからお金があんまり無いんだし・・・それにお酒に使うなら出したくない」
俺がお金を出さない解ると母さんは近くにあった缶を開けて飲み始めた
「・・・俺は母さんが飲む姿が嫌いだ」
缶を持っていた母さんの手がピタリと止まる
「でも母さん自身が嫌いなわけじゃない、嫌いになんかなれない・・・家族なんだから」
鞄からお金を取り出す
母さんを信じて、残り少ない一部を渡す
「次はちゃんと生活費に使ってね」
母さんの手にそれを握らせて立ち上がり最後にひと言言った
「俺は、俺の大好きな母さんに戻ることを信じてるよ」
昔の笑顔な母さんに戻ることを信じてる
「學无・・・っ、ありがとう」
涙を流す母さんの姿に自分も涙が流れた。
23 完
(130406)
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