このふたりで以後よろしく。 21



再び田中の家に連れてこられて1時間

ふたりとも何も言わずにずっと黙っていた

腕には無数の痕が残っていて見るのが嫌だった

顔の傷も、触れると痛い



「・・・――お前の所為だ」


――違う


「お前が、俺を帰したりなんかするから」



違うのに


田中は助けてくれたのに



「どうして俺がこんな目にあわなくちゃいけないんだよ・・・!」


田中に言ったって意味無いのに



田中は何にも悪くない


それなのに俺・・・、




ありがとうのひと言も言えないんだ





「・・・ごめん」

「っ・・・、」


違う

違う、違う


謝らせたいんじゃないんだ・・・




再び沈黙が走る

時計を見ればそろそろ親父が帰ってくる時間だった

どうしようか思っていた時、田中が口を開いた


「話し合ってみたら?」

「――は?」

「今回こんなことになったのは本当に悪いと思ってる・・・だけどこのままだと駄目だと思う」


なん、だよそれ・・・


「お前だって・・・お前だって!親と疎遠になってるくせにっ、他人に事ばっか口出ししてんじゃねぇよ!!」







――俺の馬鹿・・・






「・・・そうだな・・」


田中の辛そうな声に胸が痛む





「わかった、俺も親と話してくる・・・だから、一緒に解決しよう」








自然と涙が出てくる


田中はどうしてこんなに俺の事を助けてくれるんだ


どうして俺の事を思ってくれているんだ?



「またお前が閉じ込められたら助けてやるから」



「――わかった。」



21 完


(130406)



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