このふたりで以後よろしく。 18



田中の家に逃げ込んで3日


毎日のように親父から電話が掛かってくる


「おい、携帯なってる」

「知ってる」


田中とのこんな会話も毎日交わしている


「・・いい加減出れば?」

「嫌だ」

「・・・」


田中は何を思ったのか未だ鳴っている俺の携帯を取ると通話ボタンを押した

「ちょと―!」

携帯が耳に当てられると唯ひと言『帰ってこい』と言われ切られた

「な、にすんだよ!!」

「逃げるな」

その言葉にビクッと肩が揺れる

「大丈夫だから」


何も言えないでいると田中は俺に目線を合わせてきた





「威瑠、」



初めて呼ばれた名前







「何かあったら俺に電話しろ」








いつもは「おい」とか「お前」なのにずりぃよ・・


従うしか無いじゃん・・・



「解った・・・」














家の前に着くと恐怖で手が震えた


大丈夫、

きっと大丈夫


そう何度も言い聞かせて扉に手を掛けて開ける



家の中は薄暗くて嫌な雰囲気だった




居間すらも電気が消えていて、そこへ行くと親父がいた


「・・・」

「そこに座れ」


絶対に怒られる

そう思いながら親父の目の前に正座して座った


「お前あの子にばらしたんだろう」

「・・・ごめんなさい、」


いつ手を上げられるのかビクビクしていると親父が溜め息を吐いて立ち上がった

引き出しから何かを取り出したかと思えばいきなり腕を引っ張り、強引に部屋へと連れて行かれる

そして部屋に着くと今まで決して殴る事の無かった顔に拳が飛んできた


「、っ!」


痛みから頬を押さえると直ぐ様腕を捕まれ、床に俯せに押さえ付けられる


両腕を背中に回されそのまま縛り上げられた


さっき取り出した物は紐、又はロープだと頭の冷静な部分で思った




このまま部屋に閉じ込められるのだろう

だから顔を殴られたのだろう



「お前は暫くここから出さん、学校にも行くな」



ほら、ね





ベッドの足に腕を縛られているロープが頑丈に、何重にも結ばれた

腕から肘に掛けて増やされたロープは誰かに解いて貰わなければ外れなさそうだ


その後親父の気が済むまで殴り、蹴られ




俺はその痛みを我慢し続けた。



18 完


(130305)



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