佐々木の手が微かに震えていた
「おい、」
全く動かなくなった佐々木に不安になりながら声を掛けるが返事が返ってこない
「大丈夫か?」
「っ――あ・・・、」
口を開いては閉じるを繰り返す
「・・・とりあえず中入って、座れ」
腕を引っ張って無理矢理に部屋へ連れて行った
ベッドに座らせて背中を擦っていると暫くして涙を流しだした
「も、無理・・怖い・・・っ」
「・・・うん」
「助け、て」
頭を抱えて涙をたくさん流す佐々木
普段の佐々木からは全く想像できない姿
今まで人前でどれだけ自分を隠してきたのかがよく解る
本当に辛かったんだ
辛くて、辛くて助けを求めている人程自分の気持ちを言わないから
助けを求めたいのに求められない人程本当に辛いから
誰にも言わなかった弱みを言ってくれた事が俺は嬉しかったんだと思う
「お前の家に泊めてよ・・・、」
本当は佐々木がここで逃げてしまうのは良くないことだと思ってる
「・・あぁ」
だけど嬉しくてそう答えてしまったんだ。
16 完
(130120)
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