このふたりで以後よろしく。 15



切られた髪を自分で整える

初めてそうしたのはいつだっけ

確か高1の後半だ


自分では変な髪型になってしまったと思いながら学校に行くと、東に「アシメ似合うね」と言われた

この髪型はアシメって言うんだってその時知った

それからは髪型の雑誌を買って、親父に切られる度にそれを見ながら自分で整えるようにした



「・・・短いなぁ」

こんな髪型で田中に会うのちょっと嫌だな・・・








「みじけー」

案の定笑われるし


「うっせ・・・」

「・・・悪かったって・・ただ、似合うと思ったんだよ」



ふたりして顔を赤くする

何言ってんだよ・・・


でもどうしてだろう

東に言われた時よりも嬉しいのは


俺、こいつにべた惚れなんだな


悔しいけど



「・・・今日またうち来れば?」

「行かねぇ」

「何でだよ」

田中は1度こっちを見た後悪戯っぽく笑いながら言った


「来てほしいって素直に言ったら行ってやるけど」

「なっ・・・、来たいのはそっちだろ」

「俺は別に行かなくても良いけど」


畜生、来てほしいなんて言えるか

でも言わないと来てくれないんだよな・・・


たまには自分の気持ち伝えるのも大事か


「――っ来てほしい、」



今俺自分でも解るくらい顔赤い

「・・・ま、行かないなんて嘘だけど」

微かに笑った田中を見て唖然とする

「うわ、騙された最悪」

「いいからさっさと帰るぞ」

さっさと帰れなくしたのは誰だよ、全く・・・

















家に着くと丁度親父が家を出る所だった


「あ・・・、今から仕事・・?」

「あぁ」

「そっ、か」


ぎこちない会話

早く行ってくれ


「威瑠」

そう思っていると、後ろから声を掛けられた



「明日から仕事は夜だから」






バタンと閉まった扉

ドクンドクンと早まる心臓











バレたんだ



俺が田中に暴露したこと

バレてたんだ――っ




「どう、しよう・・・」


本来なら明日からの仕事は朝から夜までに戻るはずだった

それが変わったということはそういう事だ


俺が帰るのは夕方

親父が仕事に行くのは9時10時

帰ってくるのは朝の6時頃












生き地獄だ。



15 完


(130115)



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